saitou_ken_monogatari
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人のいい面だと斎藤は思うが、そのような姿勢は、交渉では不利になる。また、斎藤は、交渉とは何かを考えさせられた。おたがいの主張の距離が狭まれば合意できるというものでもない。むろん、交渉の中身も大事だ。が、合意せざるを得ないような周辺環境をどれだけ作れるかが重要になる。「このような政治的環境、経済的環境になったら合意したほうが得だ」そう相手に思わせる環境を作れば、主張に隔たりがあっても、一瞬にして合意できる。が、「もう少しずるずるやっていた方が得だ」と判断すれば、どんなに距離が狭まっても合意しない。つまり、いかに周辺環境を作るかが、交渉のポイントとなるのだ。平成11年11月5日、小渕再改造内閣が発足した。斎藤は、深谷隆司通産大臣の秘書官に就任した。秘書官は、朝から晩まで四六時中、大臣と行動をともにする。しかも、深谷大臣の選挙区は東京2区だ。後援者との触れあいなど政治家の日常をつぶさに見ることができ、政治の世界を知るうえでおおいに勉強になった。平成13年、斎藤は、内閣官房行政改革推進事務局に出向し、公務員制度改革、特殊法人改革、公益法人改革の3つを担当した。なかでも、もっとも大きな改革は、道路関係四公団の民営化であった。道路関係四公団民営化推進委員会内では対立もあり、行革がいかに大変かということを実感した。斎藤は、自分なりになぜ国鉄改革が成功したのかを研究した。その要因は、国鉄内部の中間管理層に、改革に燃え、決起した人たちがいたということであった。9・「道路公団民営化を担当」17さいとう健けん物語

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