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大詰めを迎えるTPP交渉にいかに臨むか

自民党農林部会長として、60年ぶりの農協改革にようやく道筋がついたと思ったら、今度はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉が大詰めを迎えております。もっとも農協改革も、与野党対決となる改革法案の国会審議はこれから本格化するのではありますが。
 農業関係では、コメ、麦、乳製品、牛肉・豚肉、甘味資源作物のいわゆる5分野が厳しい局面に直面しており、農林部会長としては悩ましい日々が続いております。
 今回の月刊では、マスコミで多く取り上げられているTPP交渉についてのさいとう健の考えを、整理してお伝えしたいと思います。


 まず、TPPが他の類似の協定と異なる大きな点は、聖域なき関税撤廃を前提としている点です。しかし日本にはコメをはじめとして、そうはいかないものもある。慎重な交渉を求める国会決議や自民党の公約も守らねばならない。そこで、2年前に日本がTPP交渉に参加する際に、安倍総理とオバマ大統領との間で、両国ともに微妙な難しい問題がある、つまりは、聖域なき関税撤廃を前提としないという趣旨の合意をした上で交渉に入りました。アメリカにも、自動車や自動車部品など日本から攻められるのがつらいものがあったからです。

 それから2年が経過しました。
 TPP交渉参加国は12カ国ありますが、今や、世界第一の経済大国と第三の経済大国の間で交渉がまとまらないと12カ国全体の交渉もまとまらないということで、日米交渉の行方がTPP全体の成功の重要なカギを握る情勢になっています。
 さいとう健は、TPP交渉には、知的財産権問題など日米が協力して進めていくべき問題も多くあるので、交渉戦略としては、日米二国間の押し相撲にならないようにもっていくべきと強く思ってきましたが、残念ながらそうなっておりません。


 そこで、日米ですが、もめているのは農産物だけではなくて、自動車・自動車部品も相当にもめております。なぜか?
 交渉内容は守秘義務があって国会議員にも開示できないということはありますが、かつて、日本政府の中で激しい日米自動車交渉を担当者として経験してきたさいとう健としては、多々推測できることがあります。

 まず、アメリカの自動車業界は、おそらくTPPを望んでいないということです。日米以外の10カ国で日本の自動車産業とアメリカの自動車産業が競争したら、劣勢になるとアメリカの自動車産業は考えていると思います。
 ですから、日本が呑めないような、アメリカに一方的に有利な要求を日本にあえて突きつけている。それによって交渉が長引けばそれもよし、また、日本がその要求を呑んでしまえばそれもまたよし、そのような感覚でいると推測しても過言ではありません。である以上は、日本は安易に妥協できないし、すべきではありません。

 また、もう一つ注目すべきは、アメリカ政府の交渉権限です。アメリカは日本と異なり、議会にも外国政府との交渉権限があり、アメリカ政府は外国と通商交渉を行なう際には、その議会の交渉権限を政府が獲得する法律を通過させて交渉に臨むのが一般的であります。
 なぜなら、アメリカ政府と交渉する外国政府は、一度合意したものがアメリカ議会によってひっくり返されてもう一度交渉し直し、なんていう可能性があるようでは怖くてカードを切れないからです。
 従いまして、アメリカ政府は、交渉相手の外国政府がカードを切りやすいように、合意した内容についてアメリカ議会はまるごと賛成するかまるごと反対するかのどちらかしかしませんよ、という状況にしなくてはならない。それがTPA法案というものなのです。
 これまでアメリカ政府は多くの自由貿易協定などを締結してきましたが、この交渉権限なくして合意したケースはヨルダンとの協定一本しかありません。それほどこの権限は重要なんです。
 しかし、この権限が今回の安倍総理の訪米時点においても獲得できていない。これでは日本は動けない。


 5月中・下旬にはTPA法案が米国議会を通過するかもしれないとの報道もありますが、仮に通過したとしても、この夏以降アメリカは、来年11月の大統領選挙に向けて激しい政争の季節になります。オバマ大統領が合意してきた協定案を、野党である共和党が過半数を占めている上下両院で、よくやった素晴らしいね、全ての項目に大賛成だね、となるとは、さいとう健には到底思えない。
 むしろ、オバマ大統領の得点にしないように、ここがダメ、あそこがダメと足を引っ張ることになる可能性が高いのではないか。そうなると、アメリカ議会でTPP協定案は否決されるか、漂流します。そしてオバマ政権では成立できないということになり、次の政権にゆだねられる。


 そうなった場合に、次の大統領が誰になるかは分かりませんが、その時点で、改めてオバマ大統領が決着させたものがやはり素晴らしいね、となるとは思えない。日本からもっと取ってきなさいとなる。そうなれば、日本はぎりぎりの妥協をしてまとめた内容から更なる譲歩を迫られることになります。


 さいとう健が声を大にして言いたいのは、そこまで見通した上で今の交渉には慎重に臨むべきだし、日本はドンと構えてカードを切るのをあせるな、ということです。


 もちろん、TPPは新しい自由貿易、経済連携をアジア太平洋地域で作り上げ、中国はじめとする国々をリードしていこうという意欲的なものですから成功させなくてはならないものであり、早ければ5月下旬にも大筋合意するのではないかという見方もありますが、一方であせったあまりに日本が窮地に追い込まれるというような事態は避けなければなりません。交渉をあせっているのは、どう考えてもアメリカ政府の方なのですから。


2015.05.13|考え方

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